ワタミの渡邉美樹会長は、経営理念を「経営者の思い」と定義し、同志である社員と共有したい価値観やルールをワタミの経営理念として発表している。その内容は実に多岐にわたり、9項目、約50種類にも及ぶ。そして、この理念に基づく経営を推し進めた結果、ワタミという企業グループは今や外食だけにとどまらず、農業や介護、環境など、日本の産業界で改善が必要とされる分野に積極的に進出し、一定の存在感を発揮するまでになっている。では、ワタミの理念とはどのようなものなのか。本書では、ワタミを約20年にわたって取材してきた筆者の視点で、「組織論」「理念が生まれた背景」「方法論」にわけ、分析・考察を進める。経営理念の共有や実践に取り組む企業経営者はもちろんのこと、これから起業を目指す人にとっても、参考になる1冊である。