出版社コメント情報
東西冷戦終結後、グローバル化のうねりは大きくなったが、同時に世界の政治・経済の不安定度も高まっていった。1990年代にはある程度順調に見えた地域統合の動きも、昨今のEU情勢に象徴されるような紆余曲折の道のりを辿っている。アジア地域においては、日中韓経済が事実上の中心であるが、それぞれの国の経済は必ずしも順調ではなく、政治・経済関係も良好であるとはいえない。他方、ASEAN諸国は、10カ国合わせて日本のGDPの3分の1程度に過ぎないものの、域内人口ではEUを凌駕し、高い経済成長率を維持している。さらに2015年末には、FTAを深化させたASEAN共同体が発足した。こうしたアジア地域における経済統合の動きに対し、日中韓は「ASEAN+α」という形でコミットしているにすぎない。世界経済の中で重要な位置を占めながら、これまで十分に議論されてこなかった日中韓経済について、相互の制度的連携や東アジアの将来のあるべき姿などについて様々な視点より論じた基礎的学習書。東アジア経済を学ぶ学生のみならず、日中韓関係に関心のある一般読者、ビジネスマンを広く想定し、極力分かりやすい言葉で解説。各章末には演習問題を掲載し、テキストとしての利便性にも配慮。