出版社コメント情報
紀年銘もなく,完存品でもない石塔が歴史を語りはじめる。その声を聞き出すのは,実測図を作成したうえで型式分類を組み立て,それを基礎にした編年研究を進めたのちに,その歴史的・文化的な意味を探る,まさに考古学が得意とする手法である。本書では12世紀末~14世紀の五輪塔と宝篋印塔に対象を絞り,地域ごとに進められている形式分類と編年研究の最新成果を収めるだけでなく,列島全域に分布する総数約1500件に及ぶ五輪塔・宝篋印塔の都府県別分布図と一覧表を付した。石塔を歴史資料として活かすための基礎データと方法論を収録した本書は,歴史研究者・公共図書館必備の1冊である。