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北方編年研究の地平に新展開を拓く 前著『北方考古学の新地平』(2008年、六一書房刊)の続編として、その後に発表した論文7篇と、新たに書き下ろした論考4篇を整理して一書としてまとめた。「蕨手刀」と「火山灰」に依拠した通説の編年観について、土器の精密な細分編年論を基づいていて見直し、前著で提案した「新北方編年体系」が、北海道島のみならずサハリン島においても矛盾なく成立することをあらためて論証した。 道東「火山灰」編年の見直しや、オホーツク海沿岸の「蕨手刀」の年代を12世紀代まで下ると想定した点、あるいはウサクマイN遺跡のソーメン紋土器や富寿神宝は、通説編年を証明する証拠とはなり得ない、と考察した点は、多くの論議を呼ぶことになるであろう。