おすすめコメント
集落から縄文社会を探る 縄文時代中期の関東・中部地方の環状集落とよばれる集落遺跡の実態を探る目的で、新地平グループと呼ばれる研究者を中心に数次にわたる研究会を重ねてきた。その成果をもとに、論をまとめたのが本書である。土井義夫、石井寛からの研究史を踏まえた提言を受け、黒尾和久が集落群研究の時期区分を問いただし、小林謙一が静的な理解であった環状集落を環状化集落として捉え直す。山本典幸が小林のフェイズ設定へ批判を加えつつ景観論へと止揚を試みる。異なる視点として、櫛原功一が住居型式から、今福利恵が土器型討論から、塚本師也が貯蔵穴から、中山真治が土偶の廃棄から、五十嵐彰が第2考古学的に環状集落を検討する。環状集落論の解体と再構築を提言する本書は、縄文研究の新たな地平を目指す一歩となろう。