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現代詩の光跡の彼方を生きる詩人が、旅の中で写しとった幾層もの声々―― 沖縄、奄美、遠野、ニューヨーク、アイルランド、ソウル、釜山、ブラジル……いくつもの旅のなかで、小津安二郎、ベケット、キーツ、ジャコメッティ、イリイチ……いくつもの言葉の、写真の、絵の、映画のなかで、耳に、目に、あらゆる器官に押し寄せてきた、表に、裏の、幾重にも折りたたまれた“声”たちを、写真と詩で写しとり、浮かびあがらせる。『機』誌2001年2月~08年1月、「triple ∞ vision」として写真とともに掲載された詩連載が、満を持して単行本化。詩の見えない“枠”を破り、乗り越ええた現代日本唯一の詩人が全身で写しとった“声”の数々。「すっかり整いすぎてしまっている日本語への不足感が、吉増剛造には何か怨念のようにある」(金時鐘)。