混沌化するグローバリーゼーション、地球環境の変容、立ち並ぶ高層ビル、再編される都市、過剰なセキュリティと増加する都市犯罪……ここ数年の間にも、都市・建築の新たな問題系がさまざまに浮上しつつあり、それらは未整理のまま複雑に絡み合い、融合して、問題の本質をよりわかりにくくしている。本特集ではこうした現在の建築・都市の問題系に対して、キーパーソン、キーワード、キーコンセプトの５０アイテムを抽出し、それらを「質問」と「解答」という形式によって読み解いていく。個々のアイテムはそれ自身の領域を超えて、他の関連ある言葉やコンセプトと比較され、関連づけられ再配置される。したがって、同じ問題が現象として記述されたり、具体的に分析されたりするといったことが平行して行われることもあり、質問と解答が網目のように重なり、この網目は、解答は一つではない、という現在の問題のありかを示していく。

ここ数年の間に浮上した、建築・都市が抱える新たな問題系について、32の質問と解答という形から読み解いていく1冊。建築家や研究者、批評家による、現在の問題のありかへの分析を踏まえ、建築・都市のこれからへのいくつかの視点がうかびあがる。