おすすめコメント
根っからの芝居好きだった父は、消えようとしていた故郷の伝統芸能文化、地歌舞伎の復興を願い保存活動を続けてきた。父とともに編んだ『美濃の地歌舞伎』出版から16年。美濃歌舞伎博物館「相生座」館長として、亡き父の思いを引き継ぎ活動を続ける中、温めてきた思いがあった。それは、「岐阜県内に伝わる地歌舞伎衣裳を記録として残したい」である。地歌舞伎には現代の大歌舞伎では、もう見ることのない演目や所作が残っている。そして江戸期の比較的早い時期に地歌舞伎の貸衣裳屋が立ち上がった岐阜県では庶民が衣裳を守ってきた。使用できる状態の衣裳が、まとまった形で今なお残されているのは極めて貴重だ。しかしながら劣化は激しく、完全に褪色してしまう前に何としても記録をし、江戸期の衣裳の魅力を次の世代に伝えたい。地歌舞伎を守る活動をつなげたい。そんな情熱を感じ取ってもらいたい。