出版社コメント情報
不意に 目の端を何かが横切る(…)/どこからと もなく二羽の小鳥が芝生に降り立ち/せわしく動き まわり 一羽が素白な羽根裏を閃かせて つと飛び 去る 残る一羽も/おお hic et nunc あとを 追うように 続いて 私の前から 飛び去って行く 『(ひかり)、……擦過。』『みどり、その日々を過ぎて。』につづく三部作―― 岩成詩学、さらなる深化。 「私」――いま宇宙のなかで生きて在る、何らの根拠なく。こ こで時の移ろいを身に負うている、何らの手だてなく。底知 れぬ無の淵にずぶずぶと沈んでゆく私、過ぎゆく事態として の私を捉えるため、引き受けるために必死で立てられる言葉。