出版社コメント情報
近年、人口の高齢化に伴い老年期の精神医学・医療の必要性は一層の重みを増している。本書は、総論において、知見をもとに身体(中枢神経系、自律神経系、腎泌尿器系、内分泌系、循環器系)の加齢変化を取りあげ、体内薬物動態にみられる老年期の特徴をわかりやすく解説した。また各論において、疾患よりも症状群についての病態生理と治療指針を取りあげ、それが本書の特徴となっている。老年期精神障害では、日常の診療において病名よりもむしろ意識障害、せん妄、うつ状態、幻覚妄想といった症状群が治療の標的となっている。これらの状態像について、その病態生理、症状評価法、合理的な薬物選択の手順が示され、きわめて実践的な治療のガイドラインである。