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スロヴァキア国民形成理論の構築とその特徴を解明する研究近代ヨーロッパの国民形成に関する従来の叙述に再考を迫る。近代スロヴァキア国民概念は,近代市民権や人権の原理から構想されるだけでなく,それと同程度に中世後期の社団国家原理の助力を得て構築された。本来,言語・文化集団がもつことのなかった国政的属性の多くは,中世後期の社団原理の法的枠組みから継承されたものである。そうした「歴史なき民」の「国民法人」説は,近代ヨーロッパの国民形成に関する従来の叙述に再考を迫る他,近代性それ自体の脱構築をも示唆しているのである