出版社コメント情報
第二次大戦以来最悪の戦争,ユーゴ内戦に突き動かされ、「民族浄化」を20世紀ヨーロッパ史の中に跡付ける◇民族浄化の比較史◇ ナイマークは,本書で民族浄化を20世紀のヨーロッパの歴史のなかに跡 付け,アナトリアのアルメニア人とギリシア人,ユダヤ人に対するナチ党の攻撃,ソ連によるチェチェン人=イングーシ人とクリミア・タタール人の強制移送,ポーランドとチェコスロヴァキアからのドイツ系住民の追放,ユーゴスラヴィア内戦の五つの事例を取り上げている。扱っている時代も1910年代から90年代までの長期に渡る。読者は,オスマン帝国からトルコへの近代国家への転換期に起こった民族浄化の事例から,20世紀末のユーゴスラヴィア内戦に至るまで,時代を超えて共通する特徴とともに,科学技術や国家機構の発展によって,より巧みに組織化されていく近代的な民族浄化の変貌する形態を知ることができる。◇一人の著者の眼が捉えた20世紀◇ 20世紀ヨーロッパの主要な民族浄化の事例を取り上げた本書は,地域的にも時代的にも広い射程で一人の著者が一貫した論理によって執筆。刊行は2001年だが,その後,英語でも日本語でもこの本に匹敵するものはいまだ刊行されていない。