出版社コメント情報
特集「万国博覧会 佐野常民と有田焼」幕末から明治になる動乱期、日本のモノづくりにおいても激変した時代です。幕藩体制のもと、いわば金に糸目をつけぬモノづくりによって、諸藩の名声のために各職が天下一を目指しました。それが、肝心の藩主なりお侍という、極上の客がいなくなったわけですから、一大事なこととなったのです。しかし、新政府が目指した富国強兵のための外貨獲得の手段として、それら工芸品は救われました。万国博覧会は、各国の国力を誇示する場として、また、貿易拡大を狙う見本市として、欧米でその規模を争った頃、日本の工芸品が鎖国を経てようやく海外の目に留まることとなったのです。そこで称賛されたのは、極東・小国の物珍しさだけではありませんでした。また、欧米に比べて人件費が安いからだけでもありませんでした。海外マーケットが求めるものを察知しそれをつくらせたプロデュース力とその要求に応えるモノづくりの力があればこそでした。そして、万国博覧会が日本にもたらしたものは、日本の名を高めた出品作品だけではなく、遠い万博会場まで船で渡り、作品のPRもそこそこに、見聞を広め、新たな知識を吸収して、さらなるモノづくりに生かすしたことが出来たことです。その知識や見識は、さらに近代国家としての日本を推し進めることとなったのです。万博とは何か? どうかご覧ください。