出版社コメント情報
一介の商人の娘として生まれながら、若くしてルネッサンス人の理想〈全的人間〉の具現そのものとして余すところなくその才能を開花させ、当時フランスの フィレンツェとも言われた文化都市リヨンにあって、社交界の華であり、さらにモーリス・セーヴを旗頭とするリヨン派の代表的詩人であり、そしてなによりも 奔放な恋に生きた女ルイーズ・ラベ。運命的な、しかも決して報われることのなかった激しい恋の果実として生涯にただ一度生み出された僅か24篇のソネット と3篇のエレジーは、時を越えて、その生々しい官能性とパッションによって、リルケを、エリュアールを魅了しさり、ヨーロッパ抒情詩の精華として今なお新 しい。先に刊行された『ピエリアの薔薇―ギリシア詩華集選』によって、呉茂一の跡を継ぐ、とその訳業を称えられた沓掛良彦による〈フランスのサッ フォー〉の全詩作品の完訳及び評伝を収めた本邦初の本格的書き下しモノグラフィー。