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現実と非現実、歪む境界。コンセプチュアルな写真作品を数々発表し、国内外で脚光を浴びる韓国人写真家、ハン・スンピル。7年以上の年月をかけ、イギリス、フランス、ドイツをはじめとするヨーロッパ各地から、母国韓国の様々な都市までを訪れ、目を疑うような建造物を大判カメラで整然と写し出した本作Facade(ファサード)。タイトル(ファサード=建物の正面、入り口、見せかけ)が示唆するように、建物の壁や改修工事のための囲いに描かれた絵画が現実の風景と絶妙に混じり合い、まるでトリックアートのように私たちの目を欺き、現実と非現実の境界を揺るがします。都会の風景に突如現れる、偽りのファサード。それは現代のすきまにそっと浮かび上がる、理想郷への入り口なのかもしれません。