おすすめコメント
<読みどころ> 12年分の新聞書評が漏らさず一挙に読むことができる。文芸評論家デビュー前に執筆された「小説家としてのダレル」(『英語研究』1969年4月号)だけでなく、「反ロマネスク・ヘミングウェイ(石一郎編『ヘミングウェイの世界』1970年)や、武田泰淳『わが子キリスト』、大岡昇平『野火』、後藤明生『パンのみにあらず、吉本隆明『改訂新版 言語にとって美とは何か』といった絶版になった文庫解説、江藤淳、大岡昇平、坂口安吾らの全集解説ほか、現在まで著者単行本未収録の「書評/論文」をあまさず収録。柄谷氏が1970年に『日本読書新聞』に連載していた「方位 70」(4回分)も収録。1960年代~70年代の多くの論考は、今回新たに発掘されたものが多い。現在ではほぼ目にすることができない貴重な論文である。加えて、文庫・全集解説として執筆された論文は400字詰め20枚~30枚に及ぶものばかりであり、一本の「文芸批評作品」として読むことが可能である。