出版社コメント情報
埴輪の風景のフィクショナルな物語- 本書は、埴輪の風景を読むというメンタリスティックな問題に挑んで、構造(つくり)から機能(はたらき)を読み解き、機能から構造を説明する、最新の成果の発表である。埴輪の風景をつきつめて考えていくと、古墳の風景を問わなくてはならなくなる。古墳の際立つ仕掛けとしての埴輪、そのデザインをさまざまに解読する論者たちの刺戟的な討議は、事物から形式へ、遺物論から遺構論へ、共時態から通時態へ、部分から全体へ、等々の基本の方針を確認しつつ、しかし何か結論を出したわけではない。結論より大事な成果は、新たな地平へと踏み出した一歩である。賽は投げられた。そこかしこに播かれているサプライズの種がすくすく育っていくことを期待したい。不思議の種を大切に育てるのは私たちでなく、貴方かもしれない。